「このコンセプトで、合っているのだろうか」。3点を決めて1枚のシートに落とし終えたあとに残るのは、たいていこの問いです。書けたことと、当たっていることは別だからです。
そして多くの解説は、ここで「小さく試してみましょう」と言って終わります。何人に、何を、何日、どうなれば当たりなのか。そこが書かれていなければ、試しようがありません。
この記事では、決めたコンセプトが当たっているかを確かめる手順を、声をかける相手の選び方、実際に使う質問文、当たり外れの判定線、区切る期間という順で解説します。
扱うのは市場全体の調査ではありません。自分が書いた3点が当たっているかを、5人との会話で確かめる部分だけに絞ります。
この記事の要点
- 確かめる目的は「売れるかを当てる」ことではありません。誰に・何を・どのようにの3点のうち、どれが外れているかを突き止めることです。
- 声をかけるのは5人。統計ではないので、割合は測りません。同じ話が繰り返し出るかどうかを見ます。
- 「買いますか」は聞きません。「いま何にいくら払っていますか」を聞きます。未来の意向は相手の想像ですが、過去の行動は事実です。
- 「いいと思います」は判定に使いません。使うのは、相手が差し出した通貨(時間・評判・お金)です。言葉はタダで、通貨はタダではないからです。
- 判定線は、5人中3人以上から過去の行動が出て、かつ1人以上が通貨を差し出したら当たり寄り。通貨がゼロなら外れです。
- 期間は2週間で区切ります。外れたら、3点のうち1点だけを入れ替えて、もう一度聞きます。
なぜ確かめる必要があるのか|顧客の悩みは開業後も居座る
コンセプトを確かめずに進めたとき、何が起きるのでしょうか。開業した人たちが実際に何に苦労しているかを見ると、輪郭が見えてきます。
日本政策金融公庫総合研究所の「2025年度新規開業実態調査」によれば、開業時に苦労したことは「資金繰り、資金調達」が56.9%で最も高く、次いで「顧客・販路の開拓」が49.9%となっています。ところが「現在苦労していること」を見ると、資金繰りは36.2%まで下がるのに対し、顧客・販路の開拓は48.8%と、ほとんど下がりません(いずれも3つまでの複数回答。日本政策金融公庫総合研究所「2025年度新規開業実態調査」、2025年12月公表、2026年7月時点で確認)。
お金の苦労は、事業が回り始めるとある程度引いていきます。顧客の苦労は引きません。開業から1年ほどたった人たちの、およそ半数がまだそこにいます。
この数字だけから「原因はコンセプトにある」とまでは言えません。ただ、顧客がつかめないという状態は、集客のやり方だけの問題とは限らない、とは言えます。誰に何を届けるかという設計そのものが外れていれば、発信をいくら増やしても、届く先がありません。売り方を工夫する前に、設計が当たっているかを確かめておく価値はここにあります。
この記事で確かめるのは「3点のどれが外れているか」
確かめると言っても、目的は「売れるかどうかを当てる」ことではありません。売れるかどうかは、売ってみるまで分からないからです。
ここで確かめるのは、誰に・何を・どのようにで書いた3点のうち、どれが外れているかです。外れている点が分かれば、直す場所が決まります。当たっていれば、そのまま次へ進めます。どちらに転んでも次の一手が決まる、というのがこの作業の値打ちです。
「小さく試す」のうち、この記事が扱う部分
小さく始めること自体の型はスモールスタートの考え方にまとめています。固定費を持たない、在庫を持たない、テスト販売で反応を見る、といった始め方の設計です。会社員のまま需要を確かめて収入の柱を育てる段階は副業から始める独立ステップで扱っています。
この記事が担うのは、その手前です。まだ売る前に、会話だけで3点を点検する部分を扱います。ここで手応えが出てから小さく売るほうが、作るものが少なくて済みます。
誰に声をかけるか|5人と話せれば一巡します
何人に声をかけるか
まず5人と決めてください。声をかける数としては、10人ほどに当たって5人と話せれば一巡します。
5人という数に、統計的な裏づけはありません。ここで測るのは割合ではないからです。「10人中7人が欲しいと言った」という数字を作りたいわけではなく、同じ話が繰り返し出るかどうかを見ています。
それでも数を先に決めておくのは、決めないと終わらないからです。「もう少し聞いてから判断しよう」は、いくらでも続けられます。5人と話したら、いったん判定する。この区切りがないと、確かめる作業そのものが先延ばしの形になります。
どういう人を選ぶか
基準はひとつです。シートの「誰に」の欄に書いた場面に、いま実際にいる人を選びます。
「開業3年目までで、席数20席以下の飲食店の店主」と書いたなら、探すのはその店主です。飲食店に詳しい人でも、かつて飲食店を経営していた人でもありません。過去にその場面にいた人は、当時の記憶を今の言葉で整理して話します。整理された話は聞きやすいのですが、いま困っている人の生々しさが抜け落ちています。
絞った場面が具体的なら、探す相手も具体的になります。逆に、誰を探せばいいのか分からないなら、「誰に」がまだ属性のままかもしれません。絞り方はターゲットの絞り込み方で解説しています。
家族と友人は、最初の5人に数えない
この分野でよく知られた手引きに、Rob Fitzpatrick の『The Mom Test』があります。「自分の母親に聞いても嘘の答えが返ってこない質問のしかた」という意味で名づけられた本です(The Mom Test 公式サイト)。母親は、あなたのアイデアを褒めます。悪気があるからではなく、あなたを大事に思っているからです。
友人も同じです。応援したい相手の企画に「それは要らないと思う」とは言いにくい。だから、身近な人の返事は判定には使いません。
ただし、身近な人を練習相手にするのは有効です。聞き方が下手なうちに本命の相手を使ってしまうと、その人にはもう一度は聞けません。
どうやって見つけるか
見つけ方は、だいたい次の4つに収まります。
- すでに面識のある人をたどって、その場面にいる人を探す
- 話した相手に、同じ場面にいる人を紹介してもらう(後述する「評判」の通貨にあたります)
- その場面の人が集まる場所(同業の集まり、地域の会、オンラインのコミュニティ)で、売り込まずに聞く
- 相手が事業者なら、店や会社に直接連絡する
顧客開発(新しい事業の仮説を、顧客に会って確かめていく進め方)を提唱した Steve Blank は、この作業を「建物の外に出る(get out of the building)」と呼びました。事実は机の上にはなく、外にいる人が持っている、という意味です(Steve Blank|Customer Development)。ひとり事業なら出ていく先は近所かもしれませんが、考え方は変わりません。
何を聞くか|そのまま使える質問文
ここが、この作業の成否を分けます。聞き方を間違えると、5人と話しても、判定に使えない返事しか集まりません。
聞いてはいけない質問と、その言い換え
『The Mom Test』が示す原則は3つです。相手の生活の話をする(自分のアイデアの話をしない)、未来の意見ではなく過去の具体を聞く、話すより聞く。
これを質問文に落とすと、次のようになります。左の列は、つい聞きたくなる質問です。
| つい聞きたくなる質問 | なぜ使えないか | 代わりに聞く質問 |
|---|---|---|
| このサービス、どう思いますか | 意見が返る。相手は親切なので褒める | 直近でその場面になったのはいつですか。そのとき何をしましたか |
| こういうものがあったら買いますか | 未来の意向。相手の想像であって事実ではない | いま、それにいくら払っていますか |
| いくらなら払いますか | 相手は値付けの担当者ではない。答えは思いつきになる | 近いことにお金を払ったのは直近でいつですか。いくらでしたか |
| 〇〇に困っていませんか | 誘導になる。「はい」しか返らない | 先週、〇〇の場面で実際にどうしましたか |
| 使ってみたいと思いますか | 社交辞令の置き場になる | いま、どうやって済ませていますか |
右の列に共通しているのは、すべて過去形だという点です。未来のことは、相手にも分かりません。「買いますか」と聞かれた人は、想像のなかの自分がどうするかを答えます。想像のなかの自分は、たいてい前向きです。
過去のことなら、相手は思い出すだけで済みます。先週いくら払ったかは、意見ではなく事実です。
会話の中心に置く3つの質問
次の3つを、会話の柱にします。そのまま使える形で書きます。
1.「直近でその場面になったのは、いつですか。そのとき、実際にどうしましたか。」
困りごとが実在するかを見る質問です。「よくありますよ」と言いながら直近の場面を思い出せないなら、その困りごとは会話用の困りごとです。
2.「いま、それをどうやって済ませていますか。何か使っていますか。お金や時間はどれくらいかかっていますか。」
3つのなかで最も重要な質問です。人は、困っていることを放置しません。必ず何かで代用しています。手作業でしのぐ、身内に頼む、別のサービスで間に合わせる。その代用品こそが、本当の競合です。そして、いま払っている額が、値段の上限のあたりを教えてくれます。すでに何かに払っている人は、払う習慣がある人です。
3.「それを何とかしようとして、これまでに何を試しましたか。なぜやめましたか。」
すでに解決策を探してお金や時間を使ったことがあるなら、その困りごとは本物です。逆に、何も試したことがないなら、その人にとっては我慢できる程度の困りごとだということ。我慢できる困りごとに、お金は動きません。
会話の始め方|コンセプトを説明しない
やってしまいがちなのが、会話の頭で自分のコンセプトを説明することです。説明した瞬間、その会話は判定に使えなくなります。相手はこちらの企画を知ってしまい、以降の返事がすべてその企画への感想に変わるからです。
始め方は、たとえばこうなります。
「〇〇のことで教えていただきたくて、少しお時間もらえませんか。売り込みではありません。まだ何も作っていなくて、みなさん実際どうされているのかを知りたいだけです。」
説明したくなるのは自然なことです。時間をもらっている以上、何か話すべきだと感じる。ただ、この会話で価値があるのは、こちらが話さなかった時間のほうです。
コンセプトの説明は、聞き終えたあと、帰り際にすれば足ります。
「いいと思います」を判定に使わない
5人と話し終えると、手元には好意的な言葉がたくさん残ります。「面白いですね」「あったら使いますよ」「がんばってください」。
この言葉は、1つも判定に使えません。
人は、親切心で嘘をつく
相手は嘘つきではありません。目の前で不慣れな人が自分の企画を話しているとき、否定するのは気まずいものです。褒めるのは、その場を良い時間にするための、ごく普通の配慮といえます。
問題は、この配慮が事実と見分けられないことにあります。本当に欲しい人も「いいですね」と言い、まったく興味のない人も「いいですね」と言う。同じ言葉が返ってくる以上、この言葉には情報が入っていません。
やっかいなのは、褒め言葉は気持ちよく、記憶に残るという点です。5人のうち4人が退屈そうだったのに、1人が「面白い」と言ったことだけを覚えて帰ってくる。だから判定は、言葉ではなく別のもので行います。
判定に使うのは、相手が差し出した「通貨」
『The Mom Test』は、会話の終わりに相手が何を差し出したかで本気度を測ります。差し出されるものを通貨と呼び、軽い順に時間・評判・お金の3つがあるとしています。
| 通貨 | 相手が手放すもの | 具体的な形 |
|---|---|---|
| 時間 | 自分の時間 | 日時の入った次回の約束。実際の作業を見せてもらう |
| 評判 | 自分の信用 | 同じ場面の人を紹介する。同業や上司に取り次ぐ |
| お金 | 現金 | 前払い、予約金、発注の意思表示 |
なぜこれで測れるのでしょうか。言葉はタダで、通貨はタダではないからです。「いいですね」と言うのに、相手は何も失いません。一方、知人を紹介するには、自分の信用を少し賭けることになります。合わないものを紹介すれば、紹介した側の評判が下がるからです。
つまり、相手が何かを差し出した瞬間は、本気度が行動に出た瞬間ということ。差し出したものが重いほど、その返事は信じられます。
通貨を確かめる一言
通貨は、待っていても出てきません。会話の終わりに、こちらから差し出してもらう必要があります。
- 時間を聞く: 「来週、実際にやっているところを30分だけ見せてもらえませんか。」
- 評判を聞く: 「同じことで困っていそうな方を、ひとりご紹介いただけませんか。」
- お金を聞く: 「いま試作を作っています。先に〇〇円お預かりして、できあがったら最初にお渡しする形はいかがでしょうか。」
断られたら、それが答えです。断られた事実は、褒め言葉よりずっと価値があります。「今度また」「落ち着いたら」も、断りとして数えてください。日時の入っていない約束は、通貨ではありません。
ここで気まずさを感じて聞かずに帰ると、5人と話した意味はほとんど消えます。
当たり・外れの判定線と、区切る期間
判定線
5人と話し終えたら、次の表に当てはめます。
| 起きたこと | 判定 | 次にすること |
|---|---|---|
| 5人中3人以上から、こちらが聞く前に過去の行動が出てきた。かつ、1人以上が通貨を差し出した | ○ 当たり寄り | 3点はいったん通っている。小さく売る段階へ進む |
| 過去の行動は出たが、通貨は誰も出さなかった | △ 保留 | 困ってはいるが、その解決策には払わない。「何を」を疑う |
| 過去の行動が出てこない。返ってきたのは感想だけ | × 外れ | その場面で困っていない。「誰に」を疑う |
| 通貨は出たが、自分の条件では届けられないと分かった | × 外れ | 「どのように」を疑う |
○は、2つそろって初めて○です。片方だけでは足りません。過去の行動だけなら「困っている人はいる」までしか言えず、通貨が1人だけなら、その人が例外という可能性が残るからです。
期間は2週間で区切る
始める前に、終わりの日を決めてください。目安として2週間を置きます。
2週間という長さ自体に、特別な意味はありません。区切ること自体に意味があります。Eric Ries が示したリーンスタートアップの考え方では、事業は「構築・計測・学習」というループを回して進み、1周ごとにピボット(方向転換)か継続かを決めるとされています(The Lean Startup|Methodology)。決める日がなければ、ループは1周もしません。
期限を切らない確かめは、確かめではなく先延ばしになります。5人と話せなかったとしても、2週間たったら、話せた人数で判定してください。「5人に届かなかった」ことも、実は結果のひとつです。その場面にいる人を5人も見つけられないなら、「誰に」が細すぎるか、想像のなかにしかいない可能性があります。
この線の限界
はっきりさせておくと、この判定線は統計ではありません。5人という数にも、3人という線にも、統計的な裏づけはありません。○が出ても売れる保証はなく、×が出ても事業として成り立たないと決まったわけでもありません。
それでも線を引くのは、線がなければ判断ができないからです。基準を持たずに5人と話すと、手元に残るのは印象だけになります。印象は、その日の気分で読み方が変わってしまう。粗くても書いてある線のほうが、頭のなかの精密な基準より当てになります。
○×は、事業の合否ではありません。次にどこを直すかを決めるための符号です。
外れたときにどうするか|どの点を入れ替えるか
×や△が出たときが、この作業の本番です。外れた事実そのものに価値はなく、どの点が外れたのかが分かって初めて直せます。
ここで、誰に・何を・どのようにの入れ替えテストにつなぎます。3点のうち1点を別の内容に入れ替えて、残りの2点が動くかを見る方法です。聞き取りの結果は、どの点を入れ替えればいいかを教えてくれます。
| 聞き取りで起きたこと | 外れている可能性が高い点 | 入れ替えるもの |
|---|---|---|
| 過去の行動が出ない。困っている実感がない | 誰に | 場面を入れ替える。同じ手段が効く別の場面を探す |
| 困ってはいるが、通貨が出ない | 何を | 届ける結果を入れ替える。相手がすでに払っている先を見る |
| 通貨は出たが、自分では回せない・続かない | どのように | 届け方を入れ替える。結果は変えずに手段を変える |
入れ替えたら、1文につないで読み直してください。「〇〇な場面にいる人に、△△という結果を、□□という形で届ける」。この文が通れば、もう一度5人に声をかけます。直した中身は、コンセプトシートの該当欄にも書き戻しておきます。
全部を捨てなくていい
外れたときにやりがちなのが、コンセプトごと捨てて、まったく別のアイデアに移ってしまうことです。ただ、5人と話して分かったのは「3点のうち1点がずれていた」ことであって、「全部が間違っていた」ことではありません。
1点を入れ替えて、また5人に聞く。この回転数が、ひとり事業では効いてきます。1回で当てる必要はありません。当たるまで回せる大きさに、1回を抑えてあることのほうが大事です。
そして通貨が出たなら、次は実際に小さく売る段階に入ります。会話で出た「払ってもいい」と、実際に振り込まれた代金のあいだには、まだ差があるからです。売って確かめる型はスモールスタートの考え方に、会社員のまま確かめて収入を育てる段階は副業から始める独立ステップにまとめています。
AI時代の応用・次の一歩
聞き取りの前後は、AIに手伝わせると軽くなります。ただし、任せられる場所と任せられない場所がはっきり分かれます。
聞く前に使えるのが、質問文の点検です。用意した質問をAIに渡して、「この質問は未来の意向を聞いていないか」「誘導になっていないか」「過去形になっているか」と検査させます。上に挙げた3つの原則をそのまま渡して採点させてもいいでしょう。自分で書いた質問は、自分では誘導に見えないものです。
聞いたあとに使えるのが、メモの仕分けです。5人分の会話メモを貼って、「過去の行動が書かれている部分と、意見や感想が書かれている部分を分けてください」と頼みます。人は褒め言葉を重く読んでしまうので、この仕分けを自分の記憶に任せないほうが、判定はぶれません。
一方で、任せられないのが会話そのものです。AIに客役をやらせて聞き方を練習するのは有効ですが、**AIが出した「買います」は通貨ではありません。**AIは何も失わないからです。時間も、評判も、お金も賭けていない相手の返事は、どれだけ具体的でも判定には使えません。確かめる相手は、失うものがある人でなければなりません。
よくある質問
5人という数に根拠はありますか。 統計的な裏づけはありません。ここで測っているのは割合ではなく、同じ話が繰り返し出るかどうかだからです。それでも数を先に決めておくのは、決めないと終わらないためです。「もう少し聞いてから」はいくらでも続けられます。5人と話したらいったん判定する、という区切りのための数だと考えてください。
知り合いや家族に聞いてもいいですか。 練習相手としては有効ですが、判定には使わないでください。身近な人は、応援したい相手の企画を否定しにくいからです。悪気があるわけではなく、配慮としてそうなります。ただ、聞き方が下手なうちに本命の相手を使ってしまうと、その人にはもう一度聞けません。最初の何人かを練習に充てる価値はあります。
相手に自分のコンセプトを説明してはいけないのですか。 聞き終えるまでは説明しないでください。説明した瞬間、以降の返事はすべてその企画への感想に変わり、判定に使えなくなります。相手がふだんどうしているかを聞き切ったあと、帰り際に説明するので足ります。この会話で価値があるのは、話さなかった時間のほうです。
5人全員が「いいと思う」と言ってくれました。当たりですか。 その言葉だけでは判定できません。本当に欲しい人も、まったく興味のない人も、同じように「いいですね」と言うからです。同じ言葉が返る以上、その言葉に情報はありません。見るのは、相手が時間・評判・お金のどれかを実際に差し出したかどうかです。誰も何も差し出していないなら、好意的な言葉が5つ集まっただけの状態です。
誰も紹介もお金も出してくれませんでした。事業をやめるべきですか。 やめる判断とは別です。分かったのは「3点のうちどこかがずれている」ことであって、「事業として成り立たない」ことではありません。過去の行動が出たのに通貨が出ないなら「何を」を、過去の行動そのものが出ないなら「誰に」を疑って、1点だけ入れ替えてもう一度聞いてみてください。
アンケートやSNSの反応でも確かめられませんか。 聞き方しだいですが、多くの場合は難しくなります。アンケートは「買いますか」「いくらなら払いますか」といった未来の意向を聞く形になりがちで、その答えは相手の想像にすぎないからです。SNSの「いいね」も同じで、押した人は何も失っていません。過去の行動を掘り下げて聞き返せる点で、会話のほうが確かめる道具としては向いています。
まとめ
決めたコンセプトを確かめる作業は、売れるかどうかを当てる作業ではありません。3点のうちどれが外れているかを突き止める作業です。だから、○が出ても×が出ても、次の一手が決まります。
進め方は決まっています。「誰に」の欄に書いた場面に、いまいる人を5人。身近な人は練習に使い、判定には数えない。会話ではコンセプトを説明せず、過去だけを聞く。直近でその場面になったのはいつか、いまそれをどう済ませていくらかかっているか、これまで何を試してなぜやめたか。この3つが柱になります。
そして、返ってきた「いいと思います」は捨ててください。本当に欲しい人も、興味のない人も、同じ言葉を言うからです。判定に使うのは、相手が差し出した通貨。時間か、評判か、お金か。言葉はタダで、通貨はタダではありません。
線はこう引きます。5人中3人以上から過去の行動が出て、1人以上が通貨を差し出したら当たり寄り。過去の行動が出るのに通貨がゼロなら「何を」を疑い、過去の行動が出ないなら「誰に」を疑う。期間は2週間で区切り、話せた人数で判定します。
外れても、全部を捨てる必要はありません。1点だけ入れ替えて、1文につないで読み直し、また5人に聞く。この回転が続く大きさに1回を抑えてあることが、ひとりで事業を続ける条件になります。頭のなかで正解を探している時間より、5人に声をかけた2週間のほうが、たしかなことを教えてくれます。
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