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事業計画書の書き方|伝わる計画書にするための5つのコツと進め方

personスモゼミ編集部 event2026-07-20 公開
事業計画書の書き方|伝わる計画書にするための5つのコツと進め方

時間をかけて事業計画書を書いたのに、読んだ相手にいまひとつ伝わらない。そんなことが起きるのは、多くの場合、内容そのものより「書き方」に原因があります。

事業計画書は、頭のなかにある事業の姿を、知らない人にも分かる形にして手渡す書類です。融資の担当者も、力を貸してくれる協力者も、あなたの事業をまだ知りません。同じ中身でも、書き方しだいで伝わることもあれば、まったく届かないこともあります。

この記事では、項目の一覧や数値計画そのものではなく、「どう書けば伝わるか」という表現と進め方のコツに絞って解説します。何をどの順に並べるかという構成は事業計画書の構成、売上や資金の数字の立て方は数値計画の立て方で扱うので、この記事は書き方の部分に集中します。

この記事の要点

  • 事業計画書は、あなたの事業を知らない人に手渡す書類です。読み手を意識して、専門用語を避け、知らない人に伝わる言葉で書くことが出発点になります。
  • 伝わる計画書には共通する原則があります。読み手を意識する・具体的に書く・数字に根拠を添える・全体で一貫させる・簡潔にまとめる、の5つです。
  • いきなり清書しようとすると手が止まります。まず各項目の要点を箇条書きで出し、それを短い文でつなぐ順で進めると書きやすくなります。
  • 書けない項目は、文章力ではなく調べや考えが足りないサインです。各項目の中身は、これまでの検討(コンセプト・USP・市場調査・ビジネスモデル)に立ち返って深めれば埋まります。

そもそも、誰に向けて書く書類か

書き方のコツに入る前に、事業計画書が「誰に向けた書類か」を押さえておくと、以降の話がつながります。

事業計画書は、自分のためのメモではありません。融資を申し込む金融機関の担当者、いっしょに動いてくれる協力者や取引先など、あなたの事業をまだ知らない相手に読んでもらうための書類です。

読む相手は、あなたが当たり前だと思っている業界の事情も、頭のなかにある事業のイメージも共有していません。自分にとって説明するまでもないことほど、相手には伝わっていない、という前提で書くことになります。この記事で扱うコツは、すべて「知らない人に伝える」というこの一点から出てきています。

伝わる事業計画書、5つの書き方の原則

伝わる計画書には、共通する書き方の原則があります。ここでは5つに整理します。特別な文章力は必要なく、意識するだけで届き方が変わるものばかりです。

1. 読み手を意識する

最初の原則は、読む人を思い浮かべて書くことです。融資担当者も協力者も、あなたの事業を知りません。業界内では通じる略語や専門用語も、相手には通じないことがあります。

知らない人に説明するつもりで、専門用語はかみくだくか、ひとこと補う。「その業界の人でなくても分かるか」を基準にすると、独りよがりな説明を避けられます。

2. 具体的に書く

「頑張ります」「精一杯やります」といった意気込みは、計画書ではほとんど情報になりません。伝わるのは、具体的な中身のほうです。

「集客を頑張る」ではなく「誰に・どんな方法で・何件」まで書く。たとえば「近隣の子育て世帯に、チラシとSNSで告知し、月に10件の予約を見込む」のように書けば、読み手はやることの中身を思い浮かべられます。抽象的な言葉を、具体的な行動と数に置きかえるのがコツです。

3. 数字に根拠を添える

計画書には数字が出てきますが、数字だけを置いても説得力は生まれません。大事なのは、なぜその数字になるのかという根拠です。

たとえば「月商30万円を見込む」とだけ書くと、願望なのか裏づけがあるのか判断できません。「単価3,000円 × 月20人 × 継続分の積み上げで、おおよそ月30万円」のように、計算の道すじを添えると、同じ数字でも意味が変わります。数字は、願望ではなく、なぜそうなるかの理由とセットにして書きます。

4. 全体で一貫させる

各項目が、たがいに矛盾しないことも大切です。ターゲットと商品と数字が、ひとつの筋でつながっているかを確かめます。

たとえば、ターゲットを「価格を抑えたい層」と書きながら、商品説明では高価格帯の付加価値をうたい、売上予測は高単価で計算している。こうしたずれがあると、どれか一つが本当なのか読み手は迷います。誰に・何を・いくらで、が全体で噛み合っているかを、書き終えたあとに通しで見直します。

5. 簡潔にまとめる

長く書けば伝わる、というものではありません。むしろ、要点がどこにあるか分からなくなると逆効果です。

分量より、要点が過不足なく伝わることを優先します。同じことの繰り返しや、事業と関係の薄い説明は削る。読み手が知りたいのは「この事業はうまくいきそうか」であって、こちらの語りたいことすべてではありません。中身を残して、無駄を削る意識が、結果として伝わる分量に近づけます。

原則やりがちなこと伝わる書き方
読み手を意識する業界用語のまま書く知らない人に伝わる言葉に直す
具体的に書く「頑張ります」で終える誰に・いくらで・何件、と書く
数字に根拠を添える数字だけを置くなぜその数字かの理由を添える
全体で一貫させる項目ごとにばらばらターゲット・商品・数字を噛み合わせる
簡潔にまとめる長さで安心する要点を残して無駄を削る

いきなり清書しない、書き進め方の順序

書き方の原則が分かっても、真っ白なページにいきなり完成文を書こうとすると、たいてい手が止まります。進め方にもコツがあります。

おすすめは、清書を最後に回すことです。まず各項目について、伝えたい要点を箇条書きで書き出します。文章の形は気にせず、単語や短いメモで構いません。事業の中身・誰に売るか・どう売るか・いくら見込むか、といった塊ごとに、思いついたことを並べていきます。

要点がひととおり出そろってから、それを短い文でつないでいきます。この順にすると、「何を書くか」と「どう書くか」を分けて考えられるので、一気に清書するより格段に楽になります。並べた箇条書きを見て、順番を入れかえたり足りない点を補ったりもしやすくなります。

そして進めるなかで、うまく書けない項目が出てきたら、それは大事なサインです。文章がまとまらないのは、多くの場合、文章力の問題ではありません。書けないのは、その部分の調べや考えが足りないサインだと考えると、対処が変わります。

たとえば「競合との違い」がどうしても書けないなら、まだ競合を十分に調べていないか、自分の違いを言葉にできていない、ということです。無理にそれらしい文章をひねり出すより、もとになる検討に立ち返るほうが、結局は早く、伝わる計画書になります。埋まらない項目こそ、事業として詰め切れていない部分を教えてくれています。

ホワイトボードに図を描く手元

よくあるつまずきと、その直し方

書き慣れていないうちは、いくつか似たようなつまずき方をしがちです。代表的なものと、直す方向を挙げておきます。

  • バラ色すぎる売上予測:右肩上がりの大きな数字は、書いている側は安心でも、読む側はかえって不安になります。うまくいかなかった場合も想定した、控えめで説明できる数字のほうが信頼されます。
  • 根拠のない数字:「なんとなくこのくらい」で置いた数字は、理由を尋ねられた瞬間に崩れます。どんなに小さな数字でも、なぜそうなるかを一言添えられる状態にしておきます。数字の立て方そのものは数値計画の立て方で深掘りできます。
  • 自分にしか分からない説明:業界の常識や、頭のなかのイメージを前提に書いてしまうと、知らない人には届きません。読んだことのない人に一度目を通してもらうと、伝わらない箇所が見つかります。
  • 強みが「品質・丁寧」で止まる:多くの同業も同じことを言うため、それだけでは選ばれる理由になりません。何がどう違うのかまで具体化する考え方はUSP・差別化ガイド、その裏づけになる競合の調べ方は市場・競合調査ガイドで扱っています。

どのつまずきも、「知らない人に伝わるか」「なぜそう言えるのか」という二つの問いに戻ると、直す方向が見えてきます。

各項目の中身は、これまでの検討でつくる

ここまで書き方の話をしてきましたが、計画書そのものは、ゼロから中身をひねり出す作業ではありません。事業計画書は、これまで考えてきたことを1枚にまとめ直す作業だと捉えると、負担が軽くなります。

誰に売るかというターゲット、選ばれる理由であるUSP、市場や競合の状況、どう稼ぐかというビジネスモデル。これらは、それぞれ深く考えるための入口があります。計画書は、その一つひとつを短くまとめて並べ、全体として筋の通った一つの計画に仕上げる場所です。

だからこそ、ある項目が書けないときは、対応する検討に戻れば中身が埋まります。

計画書を書く作業と、中身を深める作業を行き来しながら、少しずつ埋めていけば十分です。

なお、日本政策金融公庫の「創業計画書」のように、決まった様式を使う場面もあります。その場合も、書き方の原則は変わりません。様式の各欄を、知らない人に伝わるように、具体的に、根拠を添えて埋めていくことになります。最新の様式や記入要領は、公庫の公式ページ(日本政策金融公庫)で確認してください。

AI時代の応用・次の一歩

事業計画書づくりに、生成AIを役立てることもできます。使いどころを絞れば、書く手間を減らせます。

たとえば、箇条書きで出した要点を渡して「これを、事業を知らない人に伝わる短い文章にして」と頼めば、清書のたたき台が手早く得られます。専門用語が混じった説明を「知らない人に伝わる言葉に直して」と頼んだり、書き上げた計画書を「読み手として分かりにくいところを指摘して」と点検役に使ったりするのも向いています。文章を整える・読みにくさを見つける、といった作業はAIの得意分野です。

いっぽうで、鵜呑みにはできません。AIは、渡していない事業の事情までは知らないので、それらしい数字や、当たりさわりのない売り文句を埋めてくることがあります。そのまま使うと、根拠のない数字や誰にでも当てはまる説明という、この記事で挙げたつまずきに、かえって近づいてしまいます。

数字の根拠や、自分の事業ならではの中身は、最後は自分で確かめて言葉にする。AIには整えることと点検することを任せ、判断はこちらが持つ。この線引きをしておくと、便利に使いつつ伝わる計画書から遠ざからずにすみます。

次の一歩として、まずは各項目の要点を箇条書きで書き出してみてください。そのうえで、並べる順に迷ったら事業計画書の構成、数字を固める段になったら数値計画の立て方へと進めます。

よくある質問

事業計画書は、どのくらいの分量で書けばよいですか。 長さより中身だと考えられます。要点が過不足なく伝わることが目的なので、決まった枚数はありません。読み手が知りたいことに答えているかを基準に、無駄な説明を削って要点を残すほうが伝わりやすくなります。

うまく書けない項目があるときは、どうすればよいですか。 書けないのは、その部分の調べや考えが足りないサインだと考えられます。文章力の問題として片づけず、その項目のもとになる調査や検討に立ち返って、埋まっていない中身を先に固めるほうが近道になります。

売上予測は、多めに書いたほうが印象が良いですか。 逆になりやすいと考えられます。根拠のない大きな数字は、読み手にとってかえって信用しにくいものです。願望ではなく、なぜその数字になるのかを説明できる控えめな予測のほうが、計画としては信頼されやすくなります。

文章を書くのが苦手でも、伝わる計画書は作れますか。 作れると考えられます。伝わる計画書に必要なのは、うまい文章ではなく、具体性と一貫性です。まず要点を箇条書きにして、それを短い文でつなぐだけでも、知らない人に伝わる計画書に近づきます。

まとめ

事業計画書は、あなたの事業を知らない人に手渡す書類です。同じ中身でも、書き方しだいで伝わり方は大きく変わります。

伝わる計画書の原則は5つです。読み手を意識して知らない人に伝わる言葉で書く、意気込みでなく具体的に書く、数字にはなぜその数字かの根拠を添える、ターゲット・商品・数字を全体で一貫させる、長さより要点を優先して簡潔にまとめる。どれも特別な文章力を必要としません。

進め方は、いきなり清書せず、まず要点を箇条書きにしてから短い文でつなぎます。うまく書けない項目は、文章力ではなく調べや考えが足りないサインなので、もとの検討に立ち返って中身を固めます。

計画書は、これまで考えてきたことを1枚にまとめ直す作業です。各項目の中身は、コンセプト・USP・市場調査・ビジネスモデルといったこれまでの検討で深められます。書く作業と中身を深める作業を行き来しながら、身の丈で伝わる一枚に仕上げていってください。

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