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自営業とは|個人事業主・フリーランス・法人経営者を含む総称の意味

personスモゼミ編集部 event2026-07-16 公開 event_available最終確認 2026-07-16

「あなたの仕事は何ですか」と聞かれて、「自営業です」と答える場面があります。ところが、この言葉がさす範囲は、人によって、そして場面によってずれています。

自営業は、個人事業主やフリーランスだけをさすこともあれば、自分の会社を立ち上げた経営者まで含めて使われることもあります。だから「自営業とは何か」を一言で決めようとすると、かえって混乱します。

この記事では、自営業という言葉の広い意味と、労働力調査や国勢調査といった統計での「自営業主」の狭い区分がずれている理由を整理します。税の区分としての個人事業主や、働き方としてのフリーランスとの重なりは、後半で関連記事にご案内します。

統計や制度の区分は改正や見直しで変わります。最新の数値は、総務省統計局や厚生労働省など公式の資料もあわせて確認してください。

この記事の要点

  • 自営業は、自分で事業を営む人を広くさす総称です。個人事業主・フリーランス・自分の会社を持つ経営者まで含めて使われます。
  • 自営業そのものを定義した法律はありません。近い言葉に、税の個人事業主、統計の自営業主などがあり、目的ごとに範囲が違います。
  • 日常語の「自営業」は広く、統計の「自営業主」は狭いです。労働力調査では、会社の役員は自営業主ではなく雇用者に数えられます。
  • 会社を作って社長になると、日常では「自営業」でも、統計上は「雇用者のなかの役員」に分かれます。ここが最大のずれです。
  • 自分がどの立場かは、名乗りではなく、開業届を出したか、どう申告しているかで決まります。

自営業とは|自分で事業を営む人全般をさす総称

自営業とは、会社などに雇われず、自分で事業を営んで生計を立てている人を広くさす言葉です。もう少し正確に言うと、特定の税区分や働き方を細かく指定するものではなく、「雇われずに自分で商いをしている」という状態をまとめて呼ぶ総称です。

だから、街の商店主も、ひとりで請け負うデザイナーも、自分の会社を立ち上げた社長も、日常の会話ではまとめて「自営業」と呼ばれます。共通しているのは、決まった雇い主から給料をもらうのではなく、自分の事業から収入を得ているという点です。

「自営業」に決まった法律上の定義はない

意外に思われるかもしれませんが、自営業という言葉そのものを定義した法律はありません。税法にも会社法にも「自営業とは」という条文は出てきません。

その代わり、近い意味を持つ言葉が、それぞれの制度のなかで別々に定義されています。税の世界では個人事業主、統計の世界では自営業主、社会保険の世界では国民年金の第1号被保険者。どれも自営業と重なりますが、範囲は少しずつ違います。

つまり自営業は、正式な区分の名前ではなく、日常でつかう広いくくりです。この「広くて、ゆるい」という性格が、あとで見る意味のずれを生みます。

個人事業主・フリーランス・法人経営者との関係

自営業を一番外側の大きな輪だと考えると、そのなかに個人事業主やフリーランスが入ってくる、という関係になります。

  • 個人事業主は、税務署に開業届を出し、事業所得で確定申告をしている人です。自営業のうち、税の手続きから見た区分にあたります。
  • フリーランスは、会社に所属せず、案件ごとに仕事を請け負う働き方です。自営業のうち、働き方から見た呼び名にあたります。
  • 法人経営者は、自分で会社を設立して、その代表をしている人です。日常では自営業と呼ばれますが、あとで見るように統計上の扱いは変わります。

同じひとりの人が、個人事業主であり、フリーランスであり、自営業でもある、という状態はふつうに起こります。これらは対立する分類ではなく、同じ人を違う角度から見た呼び名だからです。個人事業主とフリーランスの重なりは、個人事業主とフリーランスの違いで切り分けています。

なぜ「自営業」はあいまいに使われるのか

自営業があいまいに感じられるのは、日常でつかう広い意味と、統計や制度がつかう狭い意味が、同じ言葉のなかに同居しているからです。この二つは、どちらが正しいという話ではなく、目的が違うために範囲が違います。

日常の「自営業」と統計の「自営業主」はずれている

日常語の「自営業」は、雇われずに商いをしている人をまるごと含みます。総務省の資料でも、大工や個人店主などの自営業主を含めて「労働者」ととらえる人が多い、という言葉づかいの実態にふれています(総務省統計審査官室「政府統計における『従業上の地位』の扱いについて」、2026年7月時点)。人によって指す範囲が広がったり狭まったりする言葉なのです。

いっぽう統計の「自営業主」には、はっきりした定義があります。総務省統計局の労働力調査では、自営業主を「個人経営の事業を営んでいる者」と決めています(労働力調査 用語の解説、2026年7月時点)。ポイントは「個人経営」という条件です。ここに、法人にした事業は入りません。

この一語のちがいが、日常の広い「自営業」と、統計の狭い「自営業主」を分けています。

会社を作った経営者は、統計では「役員」に分かれる

もっとも見落とされやすいのが、ここです。自分の会社を立ち上げて社長になった人は、日常では「自営業を始めた」と言われます。ところが労働力調査では、この人は自営業主に入りません。

労働力調査は、会社や団体の役員を独立した区分として置き、そこに「会社組織になっている商店などの経営者を含む」としています。そして役員は、自営業主ではなく雇用者のなかに数えられます(労働力調査 用語の解説、2026年7月時点)。

言い換えると、同じ店を続けていても、個人のままなら統計上は「自営業主」、法人にすれば「雇用者(役員)」に変わります。事業の中身は変わらないのに、法人という別の人格を作った瞬間、統計上の箱が移るのです。法人にすると人格が分かれる、というこの点は、個人事業主と法人の違い(人格・責任)でくわしく整理しています。

日常語ではひとくくりの「自営業」が、統計では「自営業主」と「役員」に割れている。これが、この言葉があいまいに感じられる正体です。

統計・制度での「自営業主」の位置づけ

統計は、就業者を「従業上の地位」という物差しで分けています。従業上の地位とは、その人が仕事をしている立場のことで、雇われているのか、自分で営んでいるのか、といった区分です。自営業を数字でとらえたいときは、この物差しを見ることになります。

労働力調査での区分と人数

労働力調査は、就業者を大きく自営業主・家族従業者・雇用者に分けます。そのうえで自営業主を、さらに次のように細かく分けています(労働力調査 用語の解説、2026年7月時点)。

区分定義
雇有業主一人以上の有給の従業者を雇って個人経営の事業を営んでいる者
雇無業主従業者を雇わず自分だけで、または自分と家族だけで個人経営の事業を営んでいる者
家族従業者自営業主の家族で、その事業に無給で従事している者

人を雇っているかどうかで、雇有業主と雇無業主に分かれます。ひとりで営むタイプは、雇無業主のほうに入ります。

人数の規模も見ておきます。厚生労働省の令和7年版労働経済白書は、労働力調査をもとに、2024年の就業者数を6,781万人、雇用者数を6,123万人としています。これに対して、自営業主と家族従業者の合計は624万人で、長く減少傾向が続いています(厚生労働省 令和7年版労働経済白書、2026年7月時点)。働く人の多くが雇用者で、自営業主は少数派になっている、という全体像がわかります。

この624万人には、さきほどの理由で、法人の役員は入っていません。会社を作った経営者を足せば、自分で事業をしている人の実数はもっと多くなります。

国勢調査など調査ごとに区分が変わる

自営業主の区分は、統計調査によって少しずつ変わります。5年に一度の国勢調査では、従業上の地位を、雇用者・役員・雇人のある業主・雇人のない業主・家庭内職者・家族従業者などに分けています。ここでも役員は、業主とは別の区分です。

こうした区分は、国際労働機関(世界の労働に関する基準づくりを担う国連の専門機関)が定めた従業上の地位の国際分類を土台にしています。総務省は、日本の統計の区分はこの国際分類におおむね従っており、調査の目的に応じて分け方を少しずつ変えている、と説明しています(総務省統計審査官室の資料、2026年7月時点)。

だから「自営業主は何人か」という数字も、どの調査のどの区分で見るかによって変わります。数字を引用するときは、出どころの調査名まで確認しておくと安心です。統計の区分は、あなたがどの立場かを決めるものではなく、社会全体を把握するための道具だからです。

自分はどの立場かは、名乗りではなく届け出で決まる

ここまで見てきたとおり、自営業という言葉じたいは広くてゆるいです。だから「自分は自営業だ」と名乗っても、それだけでは税や保険の扱いは何も変わりません。実際の立場を決めるのは、名乗りではなく、届け出と申告です。

会社に雇われずに収入を得るようになったら、確認する点は多くありません。税務署に開業届を出して事業所得で申告すれば、税の区分としては個人事業主になります。会社を設立して登記すれば、法人経営者になり、社会保険の扱いも変わります。どちらも選ばなければ、副業の収入を雑所得として申告する、といった形もあります。

つまり、自営業のどのかたちを選ぶかは、言葉の選び方ではなく、手続きの選び方の問題です。呼び名で迷うより、開業届を出すかどうか、法人にするかどうかという、実際の届け出で考えるほうが前に進みます。それぞれの選び方は、働き方・立場の基礎で1枚の地図にまとめています。

AI時代の自営業とこれからの働き方|次の一歩

自営業の担い手は、この数十年で姿が変わってきました。かつては商店主や職人といった、店や設備を構える働き方が中心でした。いまは、パソコン1台で請け負うフリーランスや、ネットで小さく商いを始める人が増え、統計の区分だけでは実態をとらえきれない場面も出ています。

AIは、この流れをさらに後押しします。これまでは人を雇うか外注しなければ回らなかった作業、たとえば見積書づくり、問い合わせへの一次対応、経理の記帳、記事や資料の下書きといった仕事を、ひとりでも一定の範囲までこなせるようになってきました。人を雇わない雇無業主のまま、扱える事業の幅を広げられる、という意味で、AIは自営業と相性がよい道具です。

自営業を続けるうえで、次の一歩として意識したいのは、立場の呼び名にこだわることより、ひとりで続けられる形を先に作ることです。記帳や請求を自動化し、単純な事務をAIに任せておけば、事業が育って個人事業主から法人へ移るときにも、増える手間を吸収しやすくなります。名乗りを整えるより、続けられる土台を整えるほうが、長い目で見て効いてきます。

よくある質問

自営業と個人事業主は同じ意味ですか。 重なりますが、同じではありません。自営業は自分で事業を営む人を広くさす総称で、個人事業主はそのうち税務署に開業届を出して事業所得で申告している人をさす税の区分です。個人事業主は自営業に含まれますが、自営業のほうが広い言葉です。

会社を作った経営者も自営業ですか。 日常の言葉づかいでは、自分の会社を立ち上げて社長をしている人を自営業と呼ぶことがあります。ただし労働力調査などの統計では、会社の役員は自営業主ではなく雇用者のなかの役員として分けて数えられます。日常語より統計の区分は狭くなっています。

自営業に法律上の定義はありますか。 自営業そのものを定義した法律はありません。近い言葉として、統計の用語である自営業主や、税の区分である個人事業主、社会保険の第1号被保険者などがあり、それぞれ目的に応じて範囲が決められています。

フリーランスと自営業の違いは何ですか。 フリーランスは働き方をさす言葉、自営業は事業のかたちを広くさす総称で、見ている角度が違います。多くのフリーランスは自営業にも当てはまります。税の区分である個人事業主との関係は、個人事業主とフリーランスの違いで整理しています。

自営業主は日本に何人いますか。 厚生労働省の令和7年版労働経済白書によると、労働力調査をもとにした2024年の自営業主と家族従業者の合計は624万人で、長く減少傾向が続いています。ただしこの自営業主には会社の役員は含まれません。

まとめ

自営業とは、雇われずに自分で事業を営む人を広くさす総称です。個人事業主やフリーランスだけでなく、自分の会社を立ち上げた経営者まで、日常ではまとめて自営業と呼ばれます。

この言葉があいまいに感じられるのは、日常の広い意味と、統計の狭い意味が同じ言葉に同居しているからです。労働力調査の自営業主は「個人経営の事業を営んでいる者」に限られ、会社の役員は雇用者のなかに数えられます。個人のままなら自営業主、法人にすれば役員と、統計上の箱が変わります。

そして、自分がどの立場かは、名乗りではなく届け出と申告で決まります。開業届を出すか、法人にするか、副業のままか。呼び名で迷うより、手続きで考えるほうが前に進みます。まずは自分がどこに当てはまるかを1枚の地図で確かめ、続けられる形を整えることが、次の一歩になります。

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