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Will・Can・Mustで方向性を決める|3つのリストを書き出す手順

personスモゼミ編集部 event2026-07-18 公開
Will・Can・Mustで方向性を決める|3つのリストを書き出す手順

やりたいこと、できること、求められること。この3つで事業の方向を考える枠組みを、Will・Can・Must と呼びます。名前は知っていても、いざ3つの欄を埋めようとすると、Willの欄に「自由に働きたい」と書いたきり手が止まる、ということが起こります。

止まるのは、3つを頭の中だけで考えているからです。Will・Can・Must は、頭で答えを出す枠組みではなく、3つのリストを紙の上に書き出すための道具です。書き出す量が足りないと、そもそも見比べる材料がそろいません。

この記事では、Will・Can・Must の3つの軸をそれぞれどう埋めるか、その問いとワークの進め方を解説します。

3つが重なる場所を読み解く作業は、この記事の範囲には入れません。ここでは、あとで見比べられるだけの粗いリストを、3軸ぶん書き出すところまでを守備範囲とします。

この記事の要点

  • Will・Can・Must は、答えを出す枠組みではなく、3つのリストを書き出す道具です。まず量を出すことを優先します。
  • Will(やりたい)は、お金をもらえなくてもやってしまうこと、変えたい不便、時間を忘れる対象から掘ります。
  • Can(できる)は、スキルや資格に加えて強みまで含めます。強みの掘り出し自体は別の記事に任せ、ここでは結果を欄に移します。
  • Must(求められる)は、誰が困っているか、お金を払う人がいるか、必要とされているかで書きます。
  • 3軸を10個ずつ書き出したら、重なりの読み解きは次の記事へ渡します。この記事はリストを作りきるまでです。

Will・Can・Must とは|3つの軸の役割

Will・Can・Must は、事業の方向を3つの角度から見るための枠組みです。1つの軸だけでは、続かなかったり、稼げなかったりします。3つを並べて見るために使います。

日本語書く内容欠けると起きること
Willやりたい自分がやりたいこと、変えたい不便気持ちが続かず、途中でやめてしまう
Canできる持っているスキル・経験・資格・強み提供できるものがなく、形にならない
Must求められる世の中や相手から必要とされることお金を払う人がおらず、収入にならない

この記事で作るのは、この表の右から2列目、つまり各軸の中身のリストです。3つの軸が重なっているかどうかを判定する作業は、リストがそろってからの話になります。

ここでは各軸を、後で見比べられる粗さで埋めます。きれいな言葉にする必要はありません。単語やひとことの箇条書きで、数を出すことを優先してください。

Will(やりたい)を書き出す|3つの問いで掘る

Willの欄に「自由に働きたい」「好きなことで生きたい」と書いても、先へ進めません。抽象的すぎて、CanともMustとも比べられないからです。Willは、もっと具体的な行動のレベルまで掘ります。

掘るための問いは3つあります。

問い引き出すもの書き方の例
お金をもらえなくてもやってしまうことは何か損得ぬきで動く対象人の相談に乗る/道具を調べて比べる
世の中の何を不便だと感じるか変えたいと思う対象説明書が読みにくい/予約が電話しかない
時間を忘れてしまうのはどんなときか没頭できる対象文章を直しているとき/数字を整えているとき

手順1|問いに沿って、数を出す

3つの問いに対して、思いついたものを片端から書き出します。1つの問いで3個から4個、3つの問いを合わせて10個くらいを目安にしてください。

このとき、事業になりそうかどうかは考えません。「近所の掲示板の貼り紙を整えたい」のような小さなことも、そのまま残します。判断を混ぜると、手が止まります。

手順2|動詞で書き直す

出したものが名詞のままだと、あとで比べにくくなります。「料理」ではなく「人の体調に合わせて献立を組む」まで砕いてください。動詞まで落とすと、その気持ちが向いている先が見えてきます。

なお、なぜ独立したいのかという動機そのものは、Willの手前にあるテーマです。動機の掘り下げは起業の動機を言葉にするで扱っています。この記事のWillは、動機を前提にした「やりたい行動」のリストです。

白い壁に貼られた黄色い付箋

Can(できる)を書き出す|棚卸しの結果を移す

Canの欄は、スキルや資格を書けば埋まると思われがちです。実際には、資格の名前だけを並べると、そこで手が止まります。資格は Can の一部にすぎず、土台には強みがあるからです。

強みとは、苦もなく続けられて、人から頼られる動き方のことです。同じ資格を持っていても、その作業が苦にならない人と、締切前に胃が痛くなる人がいます。この差が強みで、Can の中心になります。

手順1|強みの掘り出しは、別の作業として済ませておく

強みをどう掘り出すか、その手法そのものはこの記事では扱いません。人生を年表にして繰り返し現れるパターンを拾う手順を、強みの棚卸しのやり方にまとめてあります。まだ手を動かしていないなら、先にそちらで強みを最低1つ、言葉にしておいてください。

手順2|棚卸しの結果を Can 欄へ移す

強みが言葉になっていれば、この記事でやることは移し替えだけです。棚卸しで出た強みに、次のものを足して Can 欄を作ります。

種類中身
強み苦なく続く動き方細かい違いに気づく/人の話を整理する
スキル訓練で身につけた技術表計算の関数/写真の加工
経験続けてきた仕事や活動接客を5年/地域のイベント運営
資格・道具持っている証明や設備簿記2級/編集用のパソコン一式

ここでも数を優先します。「これは強みと呼べるほどではない」と削る前に、まず10個ほど並べてください。削るのは後の工程です。

Must(求められる)を書き出す|3つの視点で確かめる

Mustの欄は、自分の外側にあります。WillとCanは自分の中を掘りましたが、Mustは相手や世の中を見ないと書けません。ここが薄いと、やりたくてできることでも収入にならない、ということが起こります。

書き出すための視点は3つあります。

視点確かめること書き方の例
誰が困っているか具体的に詰まっている相手開業したての人が経理でつまずいている
お金を払う人がいるかすでに払っている相手の有無その作業を外注に出している人がいる
世の中に必要とされているか相談や募集が実際に起きているか同じ質問が掲示板で繰り返されている

手順1|身近な相手から書く

Mustは想像で書くと外れます。統計を調べる前に、まず身近にいる具体的な相手から書いてください。知り合いが困っていたこと、以前の職場でよく出た依頼、繰り返し相談された内容などです。

顔の見える相手が1人でも書ければ、それは想像上の需要より確かな手がかりになります。

手順2|お金が動いているかを添える

困っている相手を書いたら、その隣に「その人はお金を払っているか」を書き添えます。無料で我慢している不便と、お金を出してでも解決したい不便は別ものです。すでに誰かがお金を払っている領域は、Mustが実在する証拠になります。

ここでも判定はしません。「払う人はいなさそう」と思っても、まずは相手と状況を10個ほど書き出すことを優先してください。

AI時代の応用・次の一歩

3つのリストを書き出す作業は、AIに手伝わせると数を稼ぎやすくなります。ただし、選ぶのは自分だという線は動かしません。

各軸の候補出しは、AIが得意です。たとえば自分の経歴や好きなことを伝えて、「この経験から Can に入りそうな強みを10個挙げてください」と頼むと、自分では気づかない切り口が返ってきます。Willの問いやMustの相手についても、同じように候補を広げられます。手が止まって数が出ないときの、たたき台づくりに向いています。

一方で、AIが出した候補をそのまま採用してはいけません。AIは、あなたが本当にやりたいかどうかも、苦なく続けられるかどうかも知りません。返ってきた候補は、あくまで思い出すきっかけです。「これは自分に当てはまる」「これは違う」と選り分ける工程は、必ず自分の手で行ってください。

次の一歩として、3軸のリストがそろったら、3つが重なる場所を探します。Willにも Canにも Mustにも入っている要素が、事業の芯の候補です。その重なりの読み解き方、そして3つがうまく重ならなかったときにどう考えるかは、Will・Can・Mustの重なりを読むで解説しています。この記事は、その手前でリストを作りきるところまでが役割です。

よくある質問

Will・Can・Must は、どれから書き始めればいいですか。 書きやすいところからで構いません。前の軸が後ろの軸を制約する関係ではないので、Willが浮かばない日はCanから、Canが埋まらないならMustから始めても問題ありません。順番よりも、3つの欄を空白のまま残さないことのほうが大事です。1つの軸で手が止まったら、別の軸に移って全体を回してください。

各軸はいくつくらい書き出せばいいですか。 目安は1軸につき10個です。3個や4個で止めると、あとで見比べるときに材料が足りません。多く出すと質の低い候補も混ざりますが、それは削ればよいだけです。少なく絞るのは、書き出したあとの工程です。まずは数を優先して、質は問わずに並べてください。

Can の欄が、資格の名前だけになってしまいます。 資格やスキルは Can の一部ですが、それだけでは足りません。土台にある強み、つまり苦もなく続けられて人から頼られる動き方まで含めて Can です。強みの掘り出し方は強みの棚卸しのやり方で手順にしてあります。そこで言葉にした強みを、この記事の Can 欄へそのまま移してください。

3つのリストを作ったあとは、何をすればいいですか。 3つが重なるところを探します。Willにも Canにも Mustにも入っている要素が、事業の芯の候補になります。その重なりの読み解き方と、重ならなかったときにどう考えるかはWill・Can・Mustの重なりを読むで解説しています。この記事は、その手前でリストを作りきるところまでが役割です。

まとめ

Will・Can・Must は、頭の中で答えを出す枠組みではありません。やりたいこと、できること、求められることを、それぞれ紙の上に書き出すための道具です。書き出す量が足りないと、あとで見比べる材料がそろいません。

各軸には、埋めるための問いがあります。Willは、お金をもらえなくてもやってしまうこと、変えたい不便、時間を忘れる対象から掘ります。Canは、スキルや資格に強みを足し、強みの掘り出しは別の作業として済ませてから欄に移します。Mustは、誰が困っているか、お金を払う人がいるか、必要とされているかで書きます。

どの軸も、数を優先してください。目安は1軸につき10個です。事業になりそうかどうかの判定は、書き出したあとの工程に回します。判断を混ぜると手が止まります。

3軸のリストがそろったら、次は3つが重なる場所を読み解く番です。そこが事業の芯の候補になります。読み解き方は次の記事に用意してあります。まずは、3つの欄を空白のまま残さないところから始めてください。

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