確定申告という言葉を聞くと、それだけで身構えてしまう人は少なくありません。とくにひとりで事業を始めたばかりだと、「そもそも自分はやらなければいけないのか」「やるとしたら何から手をつければいいのか」がはっきりせず、不安だけが先に立ちがちです。
けれど、確定申告は正体の分からない大きな山ではありません。「自分に必要かどうか」と「どうやって進めるか」を分けて考えると、輪郭はぐっとつかみやすくなります。前半は要否の目安、後半は手続きの流れ、という順に見ていけばいいのです。
この記事では、まず自分に確定申告が必要になるのはどういうときか、その目安の考え方を整理します。そのうえで、日々の記録から提出・納税までの大きな流れを順にたどります。確定申告そのものの意味や基礎は確定申告とは(基礎)にゆずり、ここでは「必要か」と「やり方」に絞って落ち着いて見ていきます。
先に一つだけお伝えしておきます。この記事では、申告が必要になる具体的な金額や、税率・控除の額といった数字はあえて書きません。これらは状況によって異なり、制度の改定でも変わるためです。自分に当てはまる金額や要否は、必ず国税庁や税務署で最新を確認する、という前提で読み進めてください。
この記事の要点
- 確定申告が必要かどうかは、一年間の所得が一定を超えるかどうかが一つの目安とされます。ただし具体的な金額・条件は状況と改定で変わるため、必ず国税庁・税務署で確認します。
- ひとり事業者だけでなく、会社員でも本業以外の所得が一定額を超えると申告が要る、といった目安があります。自分がどれに当たるかは公式で確かめるのが確実です。
- 赤字の年でも、青色申告の繰越などの理由で申告しておいた方がよい場合があります。
- 進め方は「記録→集計→作成→提出→納税・還付」という大きな流れ。作成は会計ソフト・国税庁の作成コーナー・税理士、提出はe-Tax・郵送・持参から選べます。
確定申告が必要になるのは、どういうときか
まず気になるのは、「自分はやらなくてはいけないのか」という点でしょう。ここでの考え方の軸は、一年間にどれだけの所得があったか、です。
一般に、一年間の所得が一定を超えると、確定申告が必要になるとされています。所得というのは、おおまかに言えば売上などの収入から、それを得るためにかかった経費を差し引いたものです。ひとりで事業を営んでいて、そこから一定の所得が生じている場合は、申告の対象になりやすいと考えておくとよいでしょう。
会社に勤めている人でも、確定申告と無縁とは限りません。給与については勤め先が年末調整をしてくれますが、本業以外の所得、たとえば副業や個人での請負などから得た所得が一定額を超える場合には、別に申告が必要になる、といった目安があるとされています。会社員だから関係ない、と決めつけないほうが安全です。
ここで大切なのは、「一定」という言葉をそのまま受け取ることです。この記事であえて具体的な金額を書かないのは、申告が必要になるラインが状況によって違い、しかも改定で変わっていくものだからです。副業か事業か、ほかにどんな所得があるか、といった条件でも要否は変わります。
ですから、「自分の場合はいくらから必要なのか」「そもそも申告が要るのか」という判断は、この記事の説明だけで決めないでください。要否を分ける具体的な金額や条件は、必ず国税庁や税務署で最新を確認する、というのが確実な進め方です。判断に迷うなら、早めに税務署や税理士に相談するのが安心につながります。
赤字や少額でも、申告を考えた方がよい場合がある
「今年は赤字だったから、申告しなくていい」と考えたくなることもあるかもしれません。たしかに、所得が一定に満たなければ申告の義務がない場合もあります。ただ、義務がないことと、申告しないほうが得なことは、必ずしも同じではありません。
たとえば青色申告では、要件を満たすと、その年の赤字を翌年以降に繰り越して、将来出た利益と相殺できる仕組みがあるとされています。この扱いを受けるには、赤字の年でも申告をしておく必要がある、という場合があります。目先は納める税がなくても、申告しておくことが後々の自分を助ける、というわけです。青色申告と白色申告の違いそのものは青色申告と白色申告の違いで扱います。
また、給与から税が多めに差し引かれていたようなケースでは、申告することで納めすぎた分が戻ってくる(還付される)ことがあります。この場合、申告は義務というより、自分のためにする手続きに近くなります。
赤字や少額のときに申告した方がよいかどうかは、事情によって変わります。「しなくてよい」と早合点する前に、自分の状況で申告した方が有利になる余地がないか、国税庁・税務署・税理士に確認しておくと、取りこぼしを防げます。
確定申告の大きな流れをつかむ
自分に申告が必要そうだと分かったら、次は進め方です。ここも一つひとつは特別なことではなく、順番に沿って進めれば形になります。全体像は、次の五つの段階として整理できます。
| 段階 | やること | 主な方法・道具 |
|---|---|---|
| ① 記録する | 日々の取引を帳簿に記録する | 会計ソフト、手書きの帳簿など |
| ② 集計する | 一年分の収入と経費を集計する | 会計ソフト、表計算など |
| ③ 作成する | 集計をもとに申告書を作成する | 会計ソフト、国税庁の作成コーナー、税理士 |
| ④ 提出する | 作成した申告書を提出する | e-Tax、郵送、税務署へ持参 |
| ⑤ 納税・還付 | 税を納める、または還付を受ける | 各種の納付方法・還付の受け取り |
この表のとおり、確定申告は「一年の最後にまとめて何かをする」というより、日々の記録の積み重ねを、年に一度かたちにする作業です。次から、各段階をもう少しかみくだいて見ていきます。
記録する・集計する
出発点は、日々の取引を記録しておくことです。いつ、何のために、いくらのお金が動いたのか。売上も経費も、その都度メモや帳簿に残しておけば、後でまとめて思い出す苦労が減ります。この帳簿づけの具体的なやり方は帳簿づけの基本で扱います。
一年が終わったら、記録をもとに収入と経費を集計します。ここで一年分の数字がそろえば、申告書に載せる土台ができあがります。日々きちんと記録できていれば、集計はその延長で済むことが多く、逆に記録がとびとびだと、この段階でまとめて苦労することになります。だからこそ、日々の記録が土台になるのです。
作成する・提出する・納める
集計ができたら、その数字をもとに申告書を作成します。作成の方法は、大きく三つあります。会計ソフトを使う方法、国税庁の「確定申告書等作成コーナー」を使う方法、そして税理士に依頼する方法です。会計ソフトの選び方は会計ソフトの選び方で扱いますが、いずれの方法でも、案内に沿って進めれば必要な様式が整うようになっています。
ここで作成・提出する書類は、白色申告か青色申告かで変わります。白色申告では、収入と経費をまとめた収支内訳書を、確定申告書に添えて提出するのが基本とされています。青色申告では、収支内訳書に代えて、貸借対照表や損益計算書を含む青色申告決算書を作成し、確定申告書とあわせて提出します。いずれの場合も、生命保険料や社会保険料などの控除を受けるときは、その控除証明書といった添付書類が必要になることがあります。どの書類がどこまで要るかは、申告の種類や受ける控除によって変わり、様式そのものも改定されるため、その年に自分がそろえる書類は国税庁や税務署で確認してください。青色と白色の違いそのものは青色申告と白色申告の違いで扱っています。
できあがった申告書は、決められた申告期間内に提出します。提出のしかたは、インターネットで送るe-Tax、郵送、税務署へ直接持参する、といった方法から選べます。近年は、スマートフォンとマイナンバーカードを使ってオンラインで申告する方法も案内されています。
提出まで済んだら、最後は納税、あるいは還付です。計算の結果、納める税があれば期限までに納付し、逆に納めすぎていた分があれば還付として戻ってきます。ここまでが、確定申告のひと巡りです。納め方(振替納税・ダイレクト納付・クレジットカードなど)や、前年の所得税が多かった人が確定申告の前に前払いする予定納税の仕組みは、納税と予定納税の実務でくわしく扱っています。
なお、提出や納付の期限は毎年の申告期間として定められています。具体的な日付や、その年の作成コーナー・提出方法の詳細は、国税庁の確定申告特集(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tokushu/index.htm)で毎年案内されます。手続きを始める前に、その年の案内を一度開いておくと安心です。
AI時代の応用・次の一歩
確定申告の準備で分からないことが出てきたとき、生成AIは下調べの相棒として役立ちます。たとえば「帳簿にはどんな項目を書くのか」「申告書の作成にはどんな道具があるのか」といった、仕組みや流れの理解を助けてもらう使い方です。専門用語を身近な言葉に言いかえてもらいながら、全体像をつかむのに向いています。
いっぽうで、注意しておきたいこともあります。申告が必要になる金額の目安、税率、控除の額、期限といった具体的な数字は、改定されやすく、AIが古い情報のまま答えてしまうことがあります。過去には、こうした税の数字を固定の値として書いてしまい、後の改定で誤りになってしまう例もありました。AIの答えは流れや考え方をつかむ段階では便利ですが、自分に申告が必要かどうかや、当てはまる金額・要件・期限は、必ず国税庁・税務署・税理士といった公式・専門家で最新を確かめてください。考え方の整理はAIで、要否と数字は公式で、と分けて使うのが安全です。
次の一歩としては、まず自分の一年の収入と経費を、ざっとでよいので書き出してみることをおすすめします。おおよその形が見えれば、自分に申告が要りそうか、どの方法で進めるとよさそうかの見当がつきます。そこから、記録のしかたや道具の選び方といった具体へ進んでいけます。
よくある質問
確定申告は、そもそも自分に必要なのですか。 一般に、一年間の所得が一定を超えると確定申告が必要になるとされています。ひとりで事業を営んでいる場合や、会社員でも本業以外の所得が一定額を超える場合などが目安として挙げられます。ただし、必要になる具体的な金額や条件は状況によって異なり、制度の改定でも変わります。自分に申告が必要かどうかは、必ず国税庁や税務署で最新の情報を確認してください。
確定申告は、どんな流れで進めるのですか。 大きくは、日々の取引を記録し、一年分を集計し、その数字をもとに申告書を作成して提出し、納税または還付を受ける、という流れになります。申告書の作成は、会計ソフト、国税庁の確定申告書等作成コーナー、税理士への依頼などの方法があり、提出はe-Tax・郵送・税務署への持参から選べます。詳しい手順や様式は変わることがあるので、最新は国税庁で確認してください。
赤字でも確定申告はした方がよいのですか。 一概には言えませんが、赤字の年でも申告しておいた方がよい場合があるとされています。たとえば青色申告では、要件を満たすと赤字を翌年以降に繰り越して将来の利益と相殺できる仕組みがあるとされ、申告しておくことでこの扱いを受けられることがあります。自分の状況で申告した方がよいかどうかは、国税庁や税務署、税理士に確認するのが確実です。
自分でやるのと税理士に頼むのは、どちらがよいのですか。 どちらがよいかは、取引の量や複雑さ、確保できる時間によって変わります。取引が少なく整理しやすいうちは、会計ソフトや国税庁の作成コーナーを使って自分で進める人も多いとされます。件数が増えたり判断に迷う項目が出てきたりしたら、税理士に相談するという選び方もあります。要否や税額の判断そのものは、迷ったら早めに公式・専門家に確認してください。
まとめ
確定申告は、「自分に必要か」と「どうやるか」を分けて考えると、見通しが立ちやすくなります。要否の目安は、一年間の所得が一定を超えるかどうか。ひとり事業者はもちろん、会社員でも本業以外の所得が一定額を超えると申告が要る、といった目安があります。ただし、必要になる具体的な金額や条件は状況と改定で変わるため、自分の要否は必ず国税庁・税務署で確認してください。赤字や少額でも、青色申告の繰越や還付のために申告した方がよい場合があります。
進め方は、日々の記録から始まり、一年分を集計し、申告書を作成して提出し、納税または還付を受ける、という大きな流れです。作成は会計ソフト・国税庁の作成コーナー・税理士、提出はe-Tax・郵送・持参から選べます。手順や様式、期限といった細目は毎年案内されるので、始める前にその年の国税庁の案内を開いておくと安心です。
最後にもう一度お伝えします。申告が必要になる金額・税率・控除・期限などの最新は、必ず国税庁・税務署・税理士といった公式・専門家で確認してください。この記事は流れと考え方の地図であり、具体的な数字と自分の要否は、公式で確かめるのが確実です。
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