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経費とは|何が経費になるか、事業に必要な支出の考え方

personスモゼミ編集部 event2026-07-20 公開
経費とは|何が経費になるか、事業に必要な支出の考え方

事業を始めると、「これは経費になりますか」という問いに何度も出会います。パソコンを買った、取引先まで電車で行った、仕事の連絡にスマホを使っている。こうした支出が経費になるのかどうかは、手元にいくら残るかにも、納める税金にも関わってきます。

経費という言葉はよく聞くのに、「そもそも経費とは何か」「何が経費になって、何がならないのか」は、意外とあいまいなまま進みがちです。ここがぼんやりしていると、経費にできるものを見落としたり、逆に経費にならないものまで数えてしまったりします。

この記事では、経費とは何かという意味と、何が経費になるかを判断する原則を、考え方の入口として整理します。自宅兼事務所のように事業と私生活の両方に使うものをどう扱うか(家事按分)の考え方や、「税を減らすために使う」がなぜ本末転倒になりやすいのかにも触れます。

なお、個別の支出が経費になるかどうかの最終的な線引きや、割合の具体的な決め方には、この記事では踏み込みません。そこは年度やその人の状況によって変わり、税務署や税理士、国税庁の情報で確認するのが安全な領域だからです。この記事は、その手前にある「考え方の地図」に徹します。

この記事の要点

  • 経費とは、事業の売上を得るために必要な支出のことです。経費として認められると、その分だけ税金の計算のもとになる所得が小さくなります。
  • 何が経費になるかの判断の原則は、「その支出が、事業のために必要か」です。仕事に使うものは経費になりやすく、私的な生活のための支出は経費になりません。
  • 事業と私生活の両方に使うもの(自宅兼事務所の家賃や通信費など)は、事業で使った割合の分だけを経費にできるという考え方があります。これを家事按分と呼びます。
  • 経費を増やせば税は減りますが、経費はお金が出ていくことでもあります。税を減らすためだけの無駄遣いは本末転倒で、事業に必要なものを、証拠を残して正しく計上する姿勢が大切になります。

経費とは、売上を得るために必要な支出

経費とは、事業の売上を得るために必要な支出のことです。材料を仕入れる、道具をそろえる、取引先まで移動する。売上をつくるために出ていくお金が、経費にあたります。

なぜ経費が大切かというと、税金の計算に関わるからです。ひとり事業の税金は、売上そのものにかかるのではなく、売上から経費を引いたあとの「所得」をもとに計算されます。おおまかに言えば、売上から経費を引いた残りが所得で、その所得が大きいほど税の負担も大きくなる、という関係です。

  • 売上 … 事業に入ってきたお金の総額
  • 経費 … その売上を得るために出ていった、必要な支出
  • 所得 … 売上から経費を引いた残り(税金の計算のもとになる)

つまり、経費として認められた支出が増えると、その分だけ所得が小さくなり、結果として税の計算のもとも小さくなります。仮に売上が300万円で、事業のために使った経費が100万円なら、所得は200万円という見方です。もし経費として数えられるものを見落として60万円しか計上しなければ、所得は240万円と大きくなり、その分だけ税の計算のもとも大きくなってしまいます。

だからこそ、事業のために使ったお金を、経費としてきちんと拾っておくことが大切になります。ここで注意したいのは、経費は「使えば得をする魔法」ではなく、あくまで売上を得るために実際に出ていったお金だという点です。売上・所得・手取りの違いそのものは売上・所得・手取りの違いで整理しているので、全体像はそちらとあわせて読むと輪郭がつかめます。

何が経費になるか|原則は「事業のために必要か」

では、何が経費になるのでしょうか。判断の原則はひとつで、「その支出が、事業のために必要か」です。仕事のために使ったお金なら経費になりやすく、私的な生活のための支出なら経費になりません。

言いかえると、経費かどうかを分けるのは、モノの種類そのものよりも「何のために使ったか」です。同じ一杯のコーヒーでも、取引先との打ち合わせで飲むものと、休日にひとりでくつろぐために飲むものとでは、意味が変わります。前者は事業のための支出に近く、後者は私的な支出です。まず「これは仕事のために出したお金か」と問うのが、判断の出発点になります。

経費になりやすいもの・なりにくいもの

一般的な例で、経費になりやすいものと、なりにくいものを並べてみます。あくまで考え方の目安で、個別の可否は状況によって変わります。

一般に経費になりやすいもの一般に経費になりにくいもの
材料費・仕入れ(商品をつくる・売るための元手)家族との食事や、私的な外食
通信費(仕事で使う電話・ネット)私生活のためだけの買い物
交通費(打ち合わせ・納品などの移動)通勤や私用を兼ねない、純粋なレジャーの費用
仕事の道具・機材・ソフト事業と関係のない趣味のための支出
広告費・宣伝にかかる費用生活費(私的な食費・衣服など)
事業のための書籍・資料・研修事業と結びつかない私的な学び

表からわかるように、右側に並ぶのは「事業と結びつかない、私的な生活のための支出」です。左側は「売上を得るために必要な支出」で、仕事との結びつきが説明できます。この「仕事との結びつきを説明できるか」が、経費になりやすいかどうかの目安になります。

ここで大切なのは、迷う支出があったときに、その事情を記録として残しておくことです。いつ・何のために・いくら使ったのかが分かる領収書やレシートがあれば、あとで「これは事業のための支出だった」と示す手がかりになります。逆に、証拠が何も残っていないと、経費として認められにくくなります。

なお、上の表は一般的な例であって、すべての場合に当てはまる線引きではありません。同じ支出でも、事業の内容や使い方によって扱いは変わります。個別の支出が経費になるかどうかの最終的な判断は、税務署や税理士、国税庁の情報で確認するのが安全です。

家事按分|両方に使うものは、事業で使った割合だけ

ここで、判断が難しくなりやすい場面があります。事業と私生活の両方に使っているものです。

たとえば、自宅の一室を事務所として使っている場合の家賃。仕事にも私用にも使っているスマホの通信費。電気代。こうしたものは、まるごと私的な支出でもなければ、まるごと事業の支出でもありません。生活と仕事が同じ場所・同じ契約のなかに混ざっています。

このとき出てくるのが、家事按分(かじあんぶん)という考え方です。事業と私生活の両方に使うものは、そのうち事業で使った割合の分だけを経費にできる、という考え方です。家賃も通信費も、全額をそのまま経費にするのではなく、「事業で使った分」を切り分けて計上する、という発想になります。

  • 全部が経費になるわけではない … 私生活の分は経費にならない
  • 全部が私費でもない … 事業で使っている分は経費にできる
  • だから、事業で使った割合の分だけを経費として切り分ける

イメージとしては、ひとつの支出を「仕事の分」と「暮らしの分」に分けて、仕事の分だけを経費に数える、というものです。この考え方があるおかげで、自宅で働くひとり事業でも、事業のために使っている部分を経費として拾えるようになっています。

ただし、その割合をどう決めるか、どこまでが妥当かは、住まいの使い方や仕事の実態によって変わります。この記事では割合の具体的な決め方や数字には踏み込みません。ここは自己判断で断定せず、税務署や税理士、国税庁の情報で確認するのが安全な領域だからです。まずは「両方に使うものは、事業で使った割合だけを経費にできる、という考え方がある」と押さえておけば十分です。

白い机に置かれた白い電卓

経費を増やせば税は減る、でもお金は出ていく

経費の考え方が分かってくると、ひとつ気をつけたい落とし穴があります。「経費を増やせば税が減る」という理解が、行き過ぎてしまう場合です。

たしかに、経費が増えれば所得が小さくなり、その分だけ税は減ります。ここだけを見ると、経費は多いほど得のように感じられます。けれど、忘れてはいけないのは、経費はお金が出ていくことだという点です。経費を1万円増やせば、確かに税の計算のもとは小さくなりますが、その1万円は実際に手元から出ていっています。

仮の数字で見てみます。所得にかかる負担が、増えた経費の一部で済むと考えると、税を減らすために1万円を余計に使っても、戻ってくるのはそのうちの一部だけです。差し引きでは、手元のお金はむしろ減ります。つまり「税を減らすために、必要のないものを買う」は、節税に見えて、実際には手元の資金を減らす行いになりやすいのです。

大切なのは、順番を取り違えないことです。経費は、税を減らすために増やすものではなく、事業に必要だから使うものです。事業のために本当に必要な支出であれば、それを経費として正しく計上する。その結果として税の計算のもとが小さくなる、という順番です。

  • 良い形 … 事業に必要だから使う → 証拠を残す → 経費として正しく計上する → 結果として所得が小さくなる
  • 本末転倒な形 … 税を減らしたいから使う → 必要ないものにお金が出ていく → 手元のお金はかえって減る

節税という言葉に引っぱられて支出を増やすより、事業に必要なものを見極め、使ったお金の証拠(領収書・レシート)を残して、もれなく正しく計上する。この地道な形が、結局は最も手元にお金を残す近道になります。売上から経費を引いて利益が残るまでの全体の仕組みは稼ぐの仕組みで、粗利や利益の中身は粗利・利益の基本で扱っています。

最終的な線引きは、公式・専門家で確認する

ここまで経費の考え方を見てきましたが、最後に大切な姿勢を確認しておきます。個別の支出が経費になるかどうかの最終的な線引きは、自己判断で断定せず、公式の情報や専門家に確認するのが安全だ、ということです。

理由は主に2つあります。ひとつは、経費の扱いや割合の考え方には細かなルールがあり、状況によって変わるためです。この記事で示したのは「考え方の入口」であって、あらゆる場合に当てはまる正解ではありません。もうひとつは、税に関するルールは年度によって見直されることがあり、古い情報のまま判断すると実態と食い違うことがあるためです。

  • 国税庁のサイト … 税に関する公式の情報がまとまっています(国税庁
  • 税務署 … 個別の相談を受け付けています
  • 税理士 … 自分の事業に合わせた具体的な相談ができます

迷う支出があったら、まず「事業のために必要か」で考え、記録を残しておく。そのうえで、判断に迷うものや金額の大きいものは、公式の情報や専門家に確認する。この二段構えでいくと、あとから困りにくくなります。この記事はあくまで考え方の地図であり、個別の可否を断定するものではない、という点は押さえておいてください。

AI時代の応用・次の一歩

経費の「考え方」がつかめてくると、日々の整理に生成AIを補助として使う場面が出てきます。うまく使えば、頭の整理や、確認すべき論点の洗い出しに役立ちます。

たとえば、「自宅で仕事をしていて、こういう支出がある。事業のための支出と私的な支出に分けて整理する観点を出して」と投げると、切り分けの観点を並べて返してくれます。「この支出が経費になるか迷っている。判断するために自分で確認すべきポイントは何か」といった問いも、考える材料を集めるのに向いています。頭のなかだけで抱え込むより、論点を書き出して眺められるのが利点です。

ただし、ここでも気をつけたい点があります。生成AIは、経費になるかどうかの最終判断を保証してはくれません。AIの答えは一般的な説明であって、その人の状況や最新の制度に必ず沿っているとは限らないからです。税や経費のルールは年度で変わることがあり、AIが古い前提で答える場合もあります。整理や下調べはAIに手伝ってもらいつつ、最終的な線引きは税務署や税理士、国税庁の情報で確かめる。この役割分担を守ると、安全に使えます。

次の一歩として、まずは手元の支出を「事業のために必要か」で見分けながら、領収書やレシートを残す習慣をつけてみてください。そのうえで、売上から経費を引いて利益が残るまでの全体像は稼ぐの仕組みへ、粗利や利益の中身をもう一段くわしく知りたい場合は粗利・利益の基本へと進めます。

よくある質問

経費とは、そもそも何ですか。 事業の売上を得るために必要な支出のことです。経費として認められた分だけ、税金の計算のもとになる所得が小さくなります。仕事のために使ったお金かどうかが、経費になるかどうかの入口になります。

何が経費になるかは、どう判断すればいいですか。 「その支出が事業のために必要か」が判断の原則です。材料・仕入・通信費・交通費・道具・広告費など仕事に使うものは経費になりやすく、私的な生活のための支出は経費になりません。迷うものは記録を残し、最終的な線引きは税務署や税理士に確認するのが安全です。

自宅で仕事をしている場合、家賃は経費になりますか。 自宅兼事務所のように事業と私生活の両方に使うものは、事業で使った割合の分だけを経費にできるという考え方があります。これを家事按分と呼びます。どのくらいの割合にできるかは状況によるため、決め方は税務署や税理士、国税庁の情報で確認するのが安全です。

経費を増やせば、税金は減るのですか。 経費が増えれば所得が小さくなり、その分だけ税は減ります。ただし経費はお金が出ていくことでもあります。税を減らすためだけに必要のないものを買うのは、手元のお金をかえって減らすことになり、本末転倒になりやすいと考えられます。

まとめ

経費とは、事業の売上を得るために必要な支出のことです。経費として認められると、その分だけ税金の計算のもとになる所得が小さくなります。だからこそ、事業のために使ったお金を、もれなく拾っておくことが大切になります。

何が経費になるかの判断の原則は、「その支出が、事業のために必要か」です。仕事との結びつきが説明できるものは経費になりやすく、私的な生活のための支出は経費になりません。自宅兼事務所の家賃や通信費のように事業と私生活の両方に使うものは、事業で使った割合の分だけを経費にできるという家事按分の考え方があります。

気をつけたいのは、経費を増やせば税は減るものの、経費はお金が出ていくことでもある、という点です。税を減らすためだけの無駄遣いは本末転倒で、事業に必要なものを、証拠を残して正しく計上する姿勢が大切になります。そして、個別の支出が経費になるかどうかの最終的な線引きは、税務署や税理士、国税庁の情報で確認するのが安全です。

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